3月ブレックファーストしつもん読書会
『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ 』(新潮文庫)
春の少しウキウキした気分を醸し出しているそんな日曜日。代官山の朝は早いですね。8時半で既に蔦屋書店には本を買う人、読む人、コーヒー飲む人、様々な人が日曜日の朝を楽しんでいました。
9時スタートのこの読書会に参加者の皆さんが徐々に集まり、そして、スタート前の会話から今回のこの本がとても良かったと口々に感想をお伝え頂きました。
先月までとは少し選ぶ視点を変えてみたのがバッチリ当たり、ご機嫌でスタートしました。
この本、本当に前書きが秀逸です。
もちろん、全体を通して素晴らしいと思うんですが、シンプルで、そうであるが故にすとーんと読者の心に入ってくる感じ。
前書きではフェリーニの『道』をメタファーに使い、子供の頃から見るたびに違う気づきと感動があること、その時が来なければ分らないことがあることを学び、その度に世界が広がる瞬間の醍醐味を味わえることを語っています。
翻って著者はお茶も25年という長い年月をかけて学んで段階的に見えてくることがあり、それは人生で自信を失った時にこう教えてくれたのだということ。
「長い目で(見て)、
(そして)今を生きろ」
本は著者が大学生の頃から続けている表千家の茶道のお稽古と人生のストーリーで綴られています。
お茶の稽古をすることで、自分は何も知らないことを知る。無知の知。
お茶の世界はまるで型にはまって制約だらけだと思われがちですが、作法以外に制約はなく、今に気持ちを集中させ頭で考えるのではなく五感を研ぎ澄ませていくことを大事にしています。
悪い日という日はなく、毎日が良い日であり、雨の日には雨音を聞き、その雨の音も梅雨と秋雨では木々の葉が違うから違った音になっている。それを知った時の衝撃は如何程か。
冬には炭の匂いが焚き火を思わせたり。お軸の言葉はその季節や茶席の趣向に合わせていることを知り、あの狭い四畳半の部屋が実は大いなる自然と結びつき、自分の五感を刺激し、過去の大切な記憶につながることもあるし、これからの新しい世界へのイメージを膨らませてくれることもある。
お茶をやっていると、お辞儀する、畳を歩く、座る、柄杓を置く、帛紗を裁く、湯を注ぐ、茶を点てるなどなど様々な所作があります。それらが完成されて一本の線の様に、1つの音楽の様に、一枚の絵を描く様になっていくのには長い年月がかかります。
その所作の一つ一つに心を入れること。それは取りも直さず、今ここにいること。
あら?セネカと一緒かな。今ここにあること、今ここですべき事に集中する事。
すると、焦ったり、恐れたりする気持ちがすーっと引いているのに気がつくのです。
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さて、今日はしつもん読書会の醍醐味を改めて教えてもらった回でした。
同じ本でも感じ方は千差万別です。その違いを知ることは自分の世界を広げていくいい機会になるのです。また、しつもん読書会は否定することはしないことがルールであり、全てのシェアを受け止めます。安心安全なのです。だから、普段は躊躇することでも感じたままを口にすることができます。
今日参加してくれた3人の方々がそれぞれに感じたことはこの様な内容でした。
・今ここにいる自分が将来の自分ではなく、今を大事に生きることが将来に稔っていく。だから、続けることが大切、求めるものを探し続けることが大切
・何に気づくかは自分次第。無知の知があれば人は幾つになっても成長できる。震災を経験した私たちは日常の当たり前を、もう一度大事なこととして振り返ってどんな状態からでも立ち直れる
・人生は良いも悪いもない。ありのままでいい。判断しなくていい。今日を味わって生きればいい
今日の魔法の質問をお届けします!
◉自分が決め付けていることは何ですか?それを手放すとどんな変化が起きますか?
◉今日は何を味わって生きてみましょうか?
◉毎日は一期一会。あなたは今日という日をどう過ごしますか?
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次回以降の予定
(変更することもあります)
4月15日(土)9:00@大崎
5月13日(土)9:00
6月10日(土)9:00